Jazz City Spirits/Muzak label
MZCJ 1028
Produced by Yoshiaki Masuo
Released in 2004
Recorded at The Studio, NYC on April 2003
Personnel
Song list
Review
ホロヴィッツが弾くモシュコフスキーの曲を思わせる印象的なイントロから始まる #1は、百々徹の驚異的な才能を知らしめるに十分である。 誰にも似ずに、しかし堂々とジャズピアノの王道を行く彼は、もはや日本人としては並ぶものはないかもしれない。 ひょっとしてブラッド・メルドーに比肩するのではないだろうか(そう言えば二人とも左手が恐ろしく利くし)? この彼の2作目を聴いた時に、まず感じたことである。 前作のレビューでも書いたが、とにかくピアノの発音、強弱、タイミング、ビート、グルーヴ等に対する意識の鋭さというか、レベルが恐ろしく高い。 これは最近多い、クラシックをやってて指がよく動きます、という人たちの次元ではない。 スイングする真のジャピアノの方法を完全に知っているという事である。 そして #3 #10 に聴かれる独特な和音や、 #1 #4 #6 のユニークなリズムは、まさしく独創的だ。 現在活動しているニューヨークで、共演したベニーゴルソンに褒められたというのも当然である。 高度だが、自己満足的なもの、奇を衒った難解さは一切ない。 僕は全ての演奏が美しいと思ったが、ジャズを本当に好きな人ならば、オリジナル曲の良さは十分受容できるはずだし、 #2 #9 のポピュラー曲もあるので、初心者もぜひ聴いて欲しい。 今、日本ではピアノブームさが、もしこの人が理解されないようならば、表面的なブームだと言わざるを得ない。 傑作だ。(中山智広) --------Swing Journal 2004年4月号