00-10 (Japanese Only)

2005年 その3

5/13  <在米10周年記念カード発行日>
 お昼ご飯の最中に、移民弁護士より電話が鳴る。
『トール、いいニュース聞きたい?』
と弾む声。
 なんとなんと、昨年より申請中だったアーティスト グリーンカードが認可されたと!
120日以内に郵便でカードが届けられるはずだと!
取得時に必要とされていたはずの移民局での面接も免除されたと!

 『やったー!!!!!!!』
 学生ヴィザから2度のアーティストヴィザの更新を経て、ついに米国永住権取得。

 ランチを中断して、百々夫人とかねてより練習していた
『グリーンカードの舞』を踊る。
 テーマソングはもちろん、
『ある日パパとふたりで、語りあったさ〜
この世に生きる喜び. そして悲しみのことを〜 グ・・ン! グ・・ン!』

アパートの窓から見える木々の緑がまぶしい。
交差点の信号もレッドからグ・・ンに変わった。

 思えば、初めて、ボストンのローガン空港に降り立ったのは 1995年5月のこと。 在米生活10年目の移民局からのご褒美、ということでしょうか。

 ドド君、常に頭のどこかにヴィザの事を気に懸けながら、ボストン、NY で音楽活動をしてきました。
 でもその音楽活動が僕にグリーンカードをもたらした、ということがなにしろうれしい。

 さて、これからどうしましょう! ヴィザが切れたから帰国しなくちゃいけない、とか言い訳もできなくなったし。
 とりあえず食べさしのグ・・ン野菜をいただくドド夫妻の未来はいかに。

5/19  <祝賀ムード>
 13日(金)に受け取ったグリーンカード受理を知らせる通知によれば、今から120日以内に 移民局からカードが 僕宛に郵送される、ということだったのだが、なんと16日(月)には、家の郵便箱にすでに、カードが届いていた。

 大きさはクレジットカードのサイズ。
表面には、僕の裸眼の顔写真と指紋が印刷され、裏面には緑地に白い文字で Permanent Resident Card と書かれてあり、真ん中にはホログラムがほどこされ、透かしてみると自由の女神が見えた。

 ドド君。 すっかり祝賀ムード。
ボストン時代から アメリカでお世話になった方々へ、電話やメールで報告。
皆の『よかったね』の返信が嬉しい。

 NY 警察の方からも立て続けにお祝いをいただいた。
16日(月)夜、仕事で出かけ、イーストヴィレッジに路駐していた車が レッカー移動される。(駐車禁止エリアに誤って駐車していた僕のミス。)

17日(火)午前中に39丁目の警察署まで赴き、$185のレーカー代を払って車をひきとる。 駐禁チケット代$65も郵便で支払う。

18日(水)NY 警察から手紙。 3週間前にうっかり車で信号無視した際の 証拠写真と 罰金$50の請求書。(車のプレートナンバーと、ブレーキが間に合わず 赤信号で構わず進んでいく マイカーの様子がしっかりと写されてました。)

 ドド君、すっかりアメリカ人。

5/23  <サキドリ!>
 1)ドド君のインタビューが5月26日から2週間、このサイトに掲載されるそうです。 70年代前半生まれの、各方面で活躍されている方 サキドリーマーを特集してるそうです。
『サキドリ!』のアドレス:
http://sdori.jp/

 2)雑誌『 jazziz 』 2005年4月号の最後のページ “ coda ” の “ Where did all the jamming go ? ” と題されたエッセーの中に、僕がホストをしている Cleopatra's Needle のジャムセッションの事が書かれていました。
 最近 NY でジャムセッションを行っているクラブが減っているなかで、記者がたまたま訪れたクレパトで目撃した、僕がしきるジャムセッションの様子がレポートされてました。
 『全く無名の日本人ピアニストがしきっている事に関わらず、ジャムセッションはプロアマ、バランスよく、つつがなく進行されていた。』みたいな事が書かれてました。 高いお金を払っておしゃれなジャズクラブ とは決して言えないクレパトだが、ジャズというのは、予測がつかない音楽であるとしたら、それは、ジャムセッションで体験できるものかもしれない、みたいに記事はまとめられてました。
jazziz のアドレス:
http://www.jazziz.com/

 3)NY に出回っている『 All About Jazz 』というジャズ新聞の6月号に Cleopatra's Needle の紹介記事が載るそうで、先日。 電話インタビューをうけました。

 4)NY に出回ってる『 Hot House 』というジャズ雑誌の6月号に、 Toru Dodo の紹介記事が載るらしい。 プロフィールと写真を送ってくれとのメールが編集の方から来ました。 本当に載ったらちょっと嬉しい。
本当に載ったらアーティストグリーンカード、もう一枚取得できるのでは。

6/7  <パーティー>
 2001年秋から NY で活動していたベースの高道ハルヒサ君が帰国した。 日本のライヴハウス、雑誌でこれから彼の名前をあちこちで見るようになると思うが、僕は、気楽に携帯電話で『お屠蘇組』(注1)のメンバーだった彼に、電話できなくなった事が寂しい。

 この間の日曜日のクレパト(注2)のジャムセッションに、トランペットの岡崎好朗さんが現れた。 最近、NY に引っ越してきたのだ。
 10年前、僕がバークリー音楽院に留学した時、彼はちょうど学校を卒業し、日本へ帰国間際であった。 彼のハウスパーティー(注3)に招待されたことがあり、アメリカ人、日本人が入り交じる中、ただうろたえていたアメリカ初心者だった自分を思い出す。
 こうして、また彼と携帯で気楽に電話できる距離に生活することができるようになるとは、と思うと感慨深いものがある。

 7日に、DODO 夫妻のグリーンカード取得お祝いパーティが行われた。 日頃、僕を夕食会に招待してくださる画家の Joel Levy さん夫妻が、このパーティを企画してくださった。
 アッパーウェストにある Joel さん宅アパートにて、料理とサングリアが振舞われる中、親しい友人15人程が集まって楽しい時間を過ごした。
 Joel さんは、参加者が皆帰宅後、なんとお礼を言っていいかわからない僕に、
『いい友人に恵まれて、トールは幸せだ! いいパーティになって私は嬉しい。』
と言う。 痺れた。 こういう事ができる大人になろうと思った。

 NY ジャズ情報誌 “ Hot House ” に Toru Dodo の紹介記事(注4)が掲載されていた。  NY のシーンに貢献している気分になる。 グリーンカード2枚目に向けて、Toru Dodo が走り出した。

(注1)『 お屠蘇組 』
 2001年の大晦日、クレオパトラズニードルで演奏した時のバンド名。 ロー・ハセガワ(テナー)・タケ・トリヤマ(ドラム)・ハル・タカミチ(ベース)・トール・ドド(ピアノ)の4人が、歌に踊りに楽しいトークで9・11後の NY の年末を盛り上げた。

(注2)クレパト
 Creopatra's Needle。
NY で発行されている新聞、 “ All About Jazz ” の2005年6月号の記事の中で、 Toru Dodo が “ Second Home in NY ” と呼んでいる ジャズクラブ/レストラン/スポーツバー。

(注3)岡崎好朗 宅のハウスパーティー
 このパーティーには、ボストンに遊びに来ていたベースの塩田ノリヒデ氏、未来のドド夫人も参加していた。

(注4)Toru Dodo の紹介記事
 記念で HP の写真のページに無断でスキャンして貼ってます。

6/15  <止まると死ぬんじゃ!>
 先週、駐禁チケットを2枚食らった。

 一枚目は、夜のミッドタウン。
友人と食事して遊んでいた時のこと。
『夜は、なかなか地下鉄が来ないでしょ。 夜の帰宅がほんとに楽になったんですよね。 そろそろ帰りましょうか。 送りますよ。』

 二枚目は、昼のミッドタウン。
ドド夫人の買い物につきあって、車で移動していた。 最後に訪れたブルーミングデールという大型デパートで、少しお茶でも飲もうということになり、2ドルで1時間路駐できる場所に車を置いた。
『一気に何か所もお店に立ち寄って買い物するって、今まで大変だったよね。 荷物持って歩くのも大変だったし、バスに乗るのも面倒だったよね。 楽だなぁ。』

 僕が帰宅間際に 同乗者に、マイカーを持った喜びや、車の便利さ、車がもたらす豊なアメリカ生活を熱く語れば語る程、駐禁を記すオレンジ色の封筒が、愛車のワイパーにしっかりとくわえられている傾向がある。
 先月のレッカー移動された時も、ギグ帰りの深夜に、楽器を持って地下鉄に帰る事のつらさ、車がもたらした開放感について、恍惚の表情を浮かべて共演者に語ってしまったのを覚えている。

 路駐する時は冷静に、路上に示されているサインを読もうと思う。 すべて、きちんと読まずに『常時駐車禁止エリア』に車を止めてしまった自分がいけないのだ。

 特に、人が密集するミッドタウンでは、駐車行為自体を考えてはいけないようだ。

 常に動き続けろ!
 止まったら死ぬんじゃ!

 そうか。 常に走り続ける百々徹の生き様そのものではないか。

 二枚のチケットで 計$180の罰金。
『カーライフ初心者のいい授業料だと思えばいいのさ。』
と涼しい顔で帰宅途中、後方部のマフラー部分から、けたたましいノイズが聞こえてきた。

 昨日リペアショップで修理。なんやかやで$500の出費。

 最近のドド君、同乗者に、車を持つことの苦労を熱く語りはじめるようになったとさ。

6/17  < In This CaseとJapanese Jazz Ensemble >
 宣伝 1)
 吉本興行よりも松竹芸能の笑いを愛するテナーサックス奏者、長谷川朗のデビュー CD 『 In This Case,,, 』が6月22日に日本で発売されます。
[ 参加メンバー: Ro Hasegawa (ts)・Yujiro Nakamura (ds)・ Kazuhiro Takeda (gt)・Hatsumi Kamiyamasaki (b)・Kosuke Inoue(b)・Toru Dodo (pf) ]
[ 参考:ローハセガワ website   http://www.rojazz.com/] 

昨年春、 ローハセガワ日本ツアー( Rojazz Tour ) の際に、大阪のスタジオで収録された CD です。
 けっこうライヴ感があるといいますか、 NY から大阪入りして翌日にレコーディングしたための時差ボケ感があるといいますか、なかなか我ながらスリルがある演奏となっているように思います。
 因みにこの CD のライナーノートを恥ずかしながら、ドド君が偉そうに書いてます。 興味ある方、是非、お近くの CD ショップでお買い求めくださいませ。

 宣伝 2)
 7月8日から18日まで、ギターの井上智さんのグループのツアーに参加して日本で演奏いたします。
 NY に引っ越して来た頃から、僕のことを可愛がってくださった井上さんと、バークリーの同期で、全くピアノが弾けていなかった僕を知っている 植田典子(ベース)と、日本を旅することになるとは、感慨深いものがあります。
 最後のバンドマンの異名を持つ、ドラムの横山君と共に “ Satoshi Inoue Japanese Jazz Ensemble ” の看板を背負って演奏いたします。 興味ある方、是非、この HP のスケジュールの ページを参考にしていただき、お近くのライヴハウスにお立ち寄りくださいませ。

[ 参考 HP ]
井上智 http://www.SatoshiInoue.com/
植田典子 http://www.norikoueda.net/
横山和明 http://www5f.biglobe.ne.jp/~arichan/yokoyama-prof.htm

6/27  <明大軽音会報誌とAll About Jazz>
1)7月に発行される、明治大学の軽音楽部会報誌の編集の方から、百々徹の近況の紹介記事の原稿依頼をいただきました。 軽音 OB & OG の宇崎竜堂、阿木燿子さんも読んでいるかと想像するこの会報誌に紹介されるのは、僕のミーハー心を刺激するわけで嬉しい。

 お茶の水の旧大講堂にあったジャズ研の部室に入り浸っていた当時のドド君には、まさかグリーンカードを取得できて、 NY で音楽活動を続け、明大軽音の会報誌に寄稿するようになるとは夢にも思いませんでした。
自分の未来って予想できるものではないですね。
流されるまま、ここまで来てしまってますから。

2) NY のジャズ情報紙 『 All About Jazz 』7月号の Listen Up ! のページにドド君のインタヴューが掲載されました。
( All About Jazz web site ;
http://www.allaboutjazz.com/newyork/ )

毎月、NY 在住ミュージシャン二人をピックアップして、今まで受けた影響から、現在進めているプロジェクトの紹介、ドリームバンドを結成するとしたら? 等を質問するコーナー。

 先月の『 Hot House 』誌の紹介記事に続き、今回のインタビュー記事掲載。

 ドド君、NY のジャズコミュニティで徐々に認知されてきたのでしょうか。
 ドド君に今、追い風が吹いているのでしょうか?
 NY がドド君を求めているのでしょうか?
 時代がドド君に追い付いてきたのでしょうか?

 熱烈なる日本の960人の百々徹ファンの皆様に、『 All About Jazz 』の記事の一部、勝手にここに転載いたします。
一応、日本の義務教育を受けた方の英語力で理解できるかと思いますので、あえて日本語訳は省略させていただきます。

( From All About Jazz July 2005 , listen Up!, page12 )
・Influences:

Back, Chopin, Mahler, Debussy, Prokofiev, Puccini, Ellington, Miles, Joe Zawinul, Toru Takemitsu, Ryuichi Sakamoto and all the musicians I've played with

・By Day:

For right now, composing by day, gigging at night and worrying about my small income and finding a parking spot.

・I knew I wanted to be a musician when.....:

I still don't know if I want to be a musician.
I want to be an artist- an artist using sounds.
Recently, I got an artist green card, a permanent residency in the US. Maybe the goverment has already recognized me as an artist.

・Dream Band:

I sometimes fantasize that great pianists like Maurizio Pollini, Keith Jarrett or Marcus Roberts play my compositions. Ideally, it'd be great if people might call the band Toru Dodo is playing in, " dream band ".

・Did you know?:

I can't whistle and I can't blow a bubble with gum.

07/14  <井上智ツアー1>
 皆様お元気ですか?
今、金沢駅近くの APA ホテルのインターネットからタイプしてます。
10分100円サービスなので、
「考慮時間切りましたので、一手30秒でお願いします。」
と言われた後の将棋棋士の気持ちを想像しながら書いてます。

あらら、ここまで書いただけで、もう10分 経ちました。
100円追加。

普段、2時間くらいかけてこの日記を書いているドド君、これはチャレンジです。 さて、井上智ツアーも早いもので半ばを折り返しました。 神戸、岡山、大阪、京都、昨日は加賀市の山代温泉で露天風呂につかり、今日は、金沢県民交流ホールでのコンサートを目前に控えてます。

 リーダーだと、あらゆることを(主に司会)気にしながらの演奏となって、負担が重いのですが、今回はサイドマンとして、リーダーの智さんにおんぶにだっこで演奏に集中できるので、音楽的に健全な精神状態で楽しくやってます。

 土地土地の美を味わえるのもツアーの醍醐味。 震災から10年後の神戸の街を歩いたり、週末の岡山駅周辺の繁華街のパワーをいただいたり、サウナ風呂のようだった大阪の街での食べ歩き、修学旅行の時にはわからなかった祇園の街の趣。(一日10往復くらいしても飽きない気がした先斗町、知恩院三門の壮大さ。 祇園祭り。 やばい、俺京都好きかも。)
山代温泉旅館の露天風呂。
豪勢な日本料理。

 アメリカ人ミュージシャンが感動した時に発する、
「ヒュー!」
という声をやたら発してしまう、在米10年のドド君、もうヒューヒュー、何度叫んでいるかわかりません。 やっぱり自分の中にある日本人は健在です。

* 今回各旅先で、躍進めざましい APA ホテルに泊まることが多いのですが、天満の APA で、 APA 社長夫妻が朝食をとっている現場を目撃。 ジャイアント馬場亡き後、彼らが、日本各地に APA 旋風をおこしているのだ。

* ロイヤルホースで、智さんの、琴に着想を得て作られたオリジナル「 SONG FOR KOTO 」という曲を聞いた後、
「あの曲にあわせて、般若心経を唱えたら、きれいにはまりました。」
という感想を述べておられたお客さんがいて、世の中には、こういう音楽の聴き方をする方もいるのかと思った。

* 大阪の高速を走っていた時、「 DODO 」と書かれたビルを発見。(ドドビル?)
加賀市には、「ようこそどど町へ」の看板を発見。
なんか嬉しくなるのは何故。
全国にある「ドトールコーヒー」もおいしいですよね。

おっとここで財布の中の100円玉切れ。
(使用時間1時間30分。)

7/19  <井上智ツアー2>
 7/14 金沢の石川県立音楽堂でのコンサート。 200人ほどの観衆の前で、演奏。演奏後、会場で販売した僕の『 116 West 238 St. 』が25枚売れた。 サインを求める方々の長い行列を見た。 一人一人と握手。 あぁ、伝わったんだ、僕のメッセージが。
 コンサート後、今回のツアーのプロモートしてくださった松田さん経営する カレー屋さん、 Jo-House でカレーをごちそうになる。 昇天。
 この日死ぬ事になっていたら、なんて幸せな人生だったことだろうと思いながら死ねるな、と思えた一日。

7/15 名古屋スターアイズ。 ここの会場の音響すばらしい。 出演ミュージシャンにふるまわれる、このお店名物の伊勢うどんにしびれる。 演奏後、ラヴリーに立ち寄る。
 スターアイズとラヴリーは、ライバル店として、ピリピリした関係なのかなと勝手に想像していた。 しかし、僕がラヴリーに着いたときに、すでにスターアイズのマスターがその日の出演者だったパーカッションの横山達治さんと酒を飲んでいるお姿を目のあたりにして、少し拍子抜けした。 そういえば、僕等が演奏したスターアイズに、名古屋ブルーノートの堀支配人が聴きにきてくださっていたし、名古屋のジャズクラブ間の関係はどうやらいいらしい。

7/16 松阪ケニー。 ケニーのオーナー塚本さんは、サックス奏者で、その娘さん3人がこれまた皆サックス奏者で、 NY のニュースクールに留学中。 この日のライヴでは、夏休みで帰国中の娘さん達とも数曲共演した。
 そういえば、松阪へ行く途中の高速道路のサービスエリアの食堂で名物、松阪牛丼を発見。 しかし、売り切れ。 一日25食限定だという。 松阪牛を諦め、カレーを食べたが、より一層 Jo-House のカレーの素晴らしさを確認するだけの味であった。
この日死ぬ事になってたら悔やむことになるなぁ、と思えた一日。

7/21  <井上智ツアー3>
7/17 伊勢にある、ケニーの塚本さん宅を朝8時に出発。 伊勢湾フェリー、東名高速で、計8時間かけて、南青山 Body & Soul 入り。 あと4時間かけたら JFK に着く長旅に、メンバーの疲労度はピークに。 さすがのドド君も、オロナミン D のお力を御借りして本番に臨む。(ドド君にドーピング疑惑)
 予約のお客様で満員になった会場。 お客様のパワーが演奏家を動かしたような、集中した演奏ができたような気がする。

 演奏後、旧友のアルトの井手直行君に誘われ、渋谷で飲む。 大井・江野口夫妻、ミシナ氏、若林ミサ、中村真が集まっているなかへ、井上智組が合流した。(江野口、若林、植田の女性ベーシストが渋谷に集結の図。)
疲労困ぱいでほとんど眠りこけてしまったまま朝の5時に解散。
(帰国する度に、特に会話をするわけでもないのに、中村真君と飲み会でご一緒している事が多い。)

7/18 神田 TUC 。 ツアー最終日。 ここのピアノはいい!
疲労してるはずなのに、あと1週間はツアーができそうな気力の充実を感じた。 満員のお客さまに感謝。
 今月デビューする16歳のピアニスト YUMA 君とその両親がいらしていた。 最近、若い子がどんどんでてきますなぁ。 20歳になったドラムの横山君も、横山プロ、と呼ばれるほどに貫禄でてきてるしなぁ。

 演奏終了後、TUC から近所の中華料理屋さんで、ミューザックの福井社長とジャズシティの有賀氏と会食。 ドド君の進路相談。 気になる第3作 CD の行方は?
その後、井上智バンドのメンバーとプロモーターの松田さん達と西麻布のもんじゃ焼き屋で打ち上げ。 横山プロ、植田さん、智さん ありがとう!

7/19 再び、福井社長と会談。 第3作はこれです! といった明確なコンセプトがあった方が、売りやすいという話がでる。 ビルエヴァンスの追悼アルバムつくったら、余裕で売れるのになぁ、という話がでる。 『百々徹、待望の第3作』で売ればいいのではないか?
そう思うドド君であった。 果たしてどうなりますか?

7/20 成田から JFK へ、12時間の旅。
インタビューもなく、指紋も写真もとられずに、グリーンカードを見せるだけで入国審査をあっという間にパスできる優越感といったらない。
(控えおろう!このグリーンカードが目に入らぬか!)
しかし、荷物受け取りで時間がかかり、結局、空港から家に帰るまでの時間にたいした差がでるわけではなかった。
とにもかくにも無事帰還。

おやすみなさい。

8/1  <卑怯で臆病なピアニスト>

7月最後の日曜日のクレオパトラズニードル。
ジャムセッション開始前に行う、百々徹トリオによるオープニングセットでの出来事。

 『 My Romance 』のテーマをあふれるばかりの叙情でステージがびしょびしょになりながら演奏していた時のこと。 カウンターにいらした女性のお客さまが、曲にあわせて歌いだしたのです。 会場に響き渡るアルトヴォイス。

 彼女は、メロディーを、コードチェンジに対して遅れ気味に、いわゆる後乗りで歌う。 しかも曲の後半につれてその遅れ方はひどくなった。 ピアノソロに入ってからも、彼女はまだテーマを歌い終えていなかった。

演奏してる者にとって、お客さまが、音楽に反応して一緒に歌を歌ってくれるのは悪い気はしない。 達者な英語で口づさむ方がいると、僕は今、アメリカでアメリカンソングを演奏しているんだなぁという妙な確信を得る。 ただし歌われる方のリズムがずれると、演奏者としては少し障害になる。 もっとも、こちらは5拍子で演奏していたので、彼女にとってはリズムが合いにくかったのかもしれない。
しかし問題はそこではないのだ。

 リリカルでお腹いっぱいだよ、もう動けないよ、助けて、という感じでピアノソロが終わる28小節辺りに差し掛かったころ、目の前に手書きのの譜面が現れた。 『 My Romance 』とタイトルが記されていた。

 見上げると、白人の老女性が譜面を持って僕の側に立っていた。
『この曲やってるんでしょ。 これ Fで書いているけど、転調して歌わせてもらえないかしら?』
先程、カウンターで歌っていた方に違いない。

 耽美的で思索的で脳内サプリですっきりのベースソロが展開されている最中である。

 『今、演奏中です。 次のセットまで待ってください。』
と丁重にお断りする。 すると、彼女は、
『 Coward! 』
と吐き捨て、カウンターに戻っていかれた。

 Coward 呼ばわりされたピアニストは、有り余る、もやっとボールをバケツに投げ込んで、伊東四郎さんの眼鏡がずり落ちる姿を思い浮かべることで、気持ちを落ち着かせて、『 My Romance 』の後テーマを弾き終えた。 僕の眼鏡も、いつものようにすり落ちていたことは、あえてここに記さなくてもいいだろう。

 『演奏中に、演奏者に譜面を差し出して、この曲を転調して伴奏して欲しいという依頼を断られた後に、演奏者に Coward! 呼ばわりするのだけは、やめてください。』

とアナウンスするべきだったのか悩むところだ。
熱心に聞いてくださっているお客さまもいるのだ。
何事もなかったように、メンバーの紹介、曲紹介をしてセットを終えた。

 おそらくお酒の力が彼女に、全く理不尽な行動と発言をさせたと想像するが、それならばもっと心神喪失する程飲んで欲しい、と思ったのは僕だけでしょうか。

 もっとも、この出来事を、この Web に日本語で書くことしか、鬱憤を晴らすことができない僕は、やはり Coward なのかもしれないのです。

参照)脳内エステ IQ サプリ  http://www.fujitv.co.jp/b_hp/iqsupli/
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 この日、シンガーでもある京都の芸子さん(マコトさん)と、彼女のドキュメンタリーを製作中の LA の撮影隊がクレパトにお越しになり、僕が彼女の伴奏をしている風景もフィルムに収められました。 『はんなり』というタイトルの作品になるらしい。
実際に、その映像が使われるかどうかも定かでないのに、眼鏡はずり落ちていないかが気になって妙に緊張したドド君がいたらしい。

8/11  <有名とかお金持ちとか成功とか>
 暑い日が続いてます。

・8日(月) Joe Baione というデラウェアに住むヴァイヴ奏者のギグで、 Dizzy's Club Coca Cola という、最近ウィントン・マルサリスが建てたジャズクラブで演奏。 今まで NY のジャズクラブのオーナーから、出演記念のハンコウを手帳に捺してもらうのを趣味にしているドド君だが、いよいよ、もらっていないハンコウは VIllage Vanguard のみになってきた。

・9日(火)Joe Baione のデモ録音に参加。 62丁目のビルのペントハウスにあるスタジオで、屋上に出ればリンカンセンターを見下ろせる、とても豪華なシチュエイションであった。 ここのオーナーはベーシストらしいのだが、いったい何者なのだろう。(ここのレントは月に$5000は超えているらしい。)

 休憩中に Dizzy's Club Coca Cola のあるワーナービルディングの地下にあるデリで食事。 そこで Out Kast の Andre 3000 を発見。  NY という街で有名人に会う確率は高いはずだが、僕がその有名人を知らない確率も高いお陰で、めったに有名人に会った事がないドド君だが、 Andre 3000 は知っていた。
(2004年のグラミーを獲得した彼のアルバムは僕の i-Pod にしっかり収められてます。 正確にいうと、まだ i-Pod を持っていないので、しっかり収まっているとはいえない。)
圧倒的にお洒落な格好をして、涼しげにデリのレジカウンターでサラダを買っていた彼に、思わずジャズクラブ出演記念ハンコウ手帳を持って、彼にもサインあるいはハンコウをもらいに行こうとしたが、そもそもそんな手帳など存在しないことに気づき、あきらめた。

・10日(水)に、 Jacey Faulk のデモ録音に参加。 リハーサルに使われたのが、ベニーゴルソンの NY のアパートメントだった。
( Jacey はベニーやカーティス・フラーのマネージャーで彼自身歌を歌う。)

4ベッドルームの広いスペース。 壁には彼の CD や写真が飾られ、さながらベニーゴルソン博物館の様相。(もちろん映画 “ ターミナル ” がらみのトム・ハンクスやスピルバーグとの2ショットの写真もあった。)ヤマハのグランドピアノの譜面台には、作曲途中と思われるベニーの手書きの譜面やクラシックのピアノ曲集が置かれてあった。 ベニーはこの部屋に加えて隣の部屋も所有していて、さらに LA に家を持っているという。
成功したアメリカのジャズミュージシャンの生活の一端を覗かせていただいた貴重な体験。

8/15  <夏休み前>
 13日(土)。 猛暑。
テナーサックスの Wayne Escoffery バンドで Jazz Gallery に出演。  Dwayne Burno-Bass、Jason Brown-Drums、Carolyn Leonhart-Vocals の布陣。
(因に、Carolyn Leonhart は Wayne Escoffery の夫人。)

 演奏するのに楽しいメンバーとの共演で意気込んで臨むが、客足が悪く、少々寂しさを感じつつ、しかしながら、やはり演奏するのに楽しいメンバーと演奏したので、それはもう楽しい時間であった。
 お客さんがいなくても、演奏で満足できちゃうところが、いいのか悪いのか。 これは、ジャズミュージシャンの抱える根源的な問題かもしれない。

 14日(日)。 クレオパトラのホスト仕事に向かおうとした夕方から、激しい雷雨。
ちょっとした大雨ですぐに、高速道路が川になってしまうことを知らなかった僕は、焦った。 西側のハイウェイの125丁目から96丁目の間が大渋滞。 さすがニューヨークドライヴァーは慣れたもので、オールをやおら取り出して漕ぎはじめるではないか。 僕はしょうがなく手漕ぎで進んだ。

 96丁目の出口も V 字形になっているため、くぼみ部分は池と化していた。 隣の車線には3台ほど、その池に突入するのを諦め、バックして高速に戻ろうとする車がいた。

 僕の車は、日本でいうところの軽自動車にランクされるサイズだ。 あの池を無事に渡れるのだろうか。 僕もバックして高速に戻るべきなのか。 クレパトの開始時間をすでに回っていた。 好きな仕事をとるか、大切な命をとるか、少し考えてもみた。

 しかし、僕の車の前の車がすでに池に飛び込んでいったため、迷っている時間はなかった。 漕ぎすぎてすっかり痺れた手を使うのは諦め、アクセルを踏んだ。 最悪の事態を予想して、大量に息を吸い込んで突入した。 もう息がつづかない、と思った瞬間にローカル道にたどり着けた。 僕のフォードは少し床上浸水したものの、無事だった。 これほど生きているという喜びに満ちあふれて、クレパトのジャムセッションに臨んだ事が今までにあっただろうか。
(ベースのジョセフは40分遅刻してきた。 ドラムのユージローは泳いできた。)

 何故こんなにつまらない文章を嬉々と書き綴っているかというと、今日から、僕は夏休みに入るからなのだ。 たまたまこの一週間仕事がないだけという話しはさておき、静養に入れる喜びが皆様にも伝わればドド君はとても嬉しい。
暑中お見舞い申し上げます。

8/21  <映画出演?>
 先日、映画撮影に参加。
韓国人映画監督 Seungeuk Han の『 Karma 』という作品。 たまに演奏する、コリアンタウンにある Maxim Lounge がロケ地。 出演者、スタッフ皆、韓国語を話していた。

 僕の役は、バーカウンターで、
女『よく当たると評判の占い師の所へ行きましょう。』
男『そういうものに興味はないんだ。』
女『そういうことを言わないで。 行きましょうよ。』
男『しょうがないな。 行こうか。』
というような会話をしている、若い男女のカップルの背後の、バーのステージで歌う、 NANA さん(韓国出身 NY 在住の歌手)の伴奏をするピアニストの役。

 あらゆる角度から、同じシーンを何度も撮影。 顔が映ることも保証されていないピアニストでさえ、弾く指の絵。 ペダルを踏む絵。 鍵盤が弦を弾くところの絵など、パートパートで撮っていくので、ものの1分のシーンに1時間近くかけて撮影していった。
 役者さんのお化粧し、リハーサルなど含めて、このシーンのために3時間くらい拘束されたドド君。 映画は待ちの芸術なのだと、教えらた。

 これが全国ロードショーされるのか、近所の公民館で上映されるものなのか、この作品の発表の規模は全くわからなかったが、韓流の波にしっかり乗っているドド君ではあった。

9/2  <フィラデルフィアの旅>
 フィラデルフィアから帰ってきました。
8月31日(水) Pete Zimmer Quintet 、9月1日(木) Joe Baione Quartet のピアニストとして、フィラデルフィア市の中心街にある Zanzibar Blue というジャズクラブで演奏してきました。
 せっかくの機会なので、どど夫人を連れて2泊のフィラデルフィア観光も楽しんでまいりました。 愛車で長距離ドライヴも(といっても片道1時間30分程度ですが)今回初めてだったもので、なんだかんだ興奮してたわけでした。

 今回のこの作文のテーマも、 NY に住む日本人ピアニストが、違うアメリカの都市の同じジャズクラブで、違うバンドのサイドマンとして2晩続けて演奏する確率の希少性について、ごちゃごちゃ考察してみようかと思っていたのですが、8月30日にルイジアナ州、ミシシッピー州、アラバマ州を襲ったハリケーン、カトリーナによる悲惨な被害を伝えるニュースの前に無力感にとらわれてしまいました。
 愛する命、所有物を一瞬に失い、文明からかけ離れた野性化した生活を余儀なくさせられることって、僕にもこれからの人生であることかもしれないけれど、想像するとやりきれないですね。
 
 今回の災害に、友人が巻き込まれてしまったので
(http://satoru.neworleansnightcrawlers.com/)
とても心苦しいです。
彼の無事を祈ります。

9/8  <めざまし調査隊解散>
 1)3日(土)。 Pete Zimmer クインテットでブルーノートの週末の深夜枠に出演。
 この週のメインショーは、Ron Carter グループと Jeff Watts グループの2本だて。 僕達のショーは12時30分から3時30分ということになっていて、12時頃会場に到着。

 ブルーノートの入り口近くに Jeff Watts グループの面々がたむろしている。 テナーのマーカス君に
『もう君たちの演奏は終わったの?』
と聞くと、
『これからだよ。 ロンカーターバンドはいつも長いんだよ。』
と時間を持て余している模様。

 ということは、我等が Pete Zimmer クインテットの演奏開始はいつになるのだ?
Ron Carter を聞くのも久しぶりではあったので会場に入る。 『 Willow Weep For Me 』を15分くらい朗々とベースソロをしていた。
その後バンドで一曲演奏して、
 『 Thank you very much. Good Morning. 』
と涼しげに挨拶して舞台を終える Ron Carter 。

 12時30分頃 Jeff Watts グループのショーが始まる。 歌うジェフワッツに少し驚く。 普段は喜んで聞くところだが、次に仕事が控えていると思うと、落ち着いて聞いていられない。 ずっと立ち見だったので足も痺れてくる。 眠気も襲ってくる。

 2時、我等が Pete Zimmer クインテットの演奏開始。 満員だった会場もまばらに。 なんとなく自棄になりつつも、メンバー皆いい音を出したような気がした。 3時30分終了。
ニューヨーク。眠らない街。
多分そういうことなのだろう。

2)7日(水)。 シンガーのジェニファーさんの仕事でウェストヴィレッジのハウストンストリート沿いにある、とあるイタリアンレストランで演奏。
 この会場で不思議と知り合いに出会った。

 SOMI バンドを通じて知り合ったシンガーのジェレマイア。
 (以下の面々はたまたまこの店の前を通りかかっただけであるが)
 トランペットの広瀬未来君。
 レコーディングで NY 訪問中のシンガーの海老原淳子さん。
 そのレコーディングに立ち会っていた増尾好秋さん。

 ジェレマイアの友人で一緒に聞きに来てくれていた人がいて、
(映画を撮る人らしいノースカロライナ出身の黒人男性)
その人に、
『 Small World ですよね。 こういったレストランで、知り合いにたくさん出会えてしまうのですから。』
と言うと、彼は、
『 Small World ではないよ。  We Are All Connected なんだよ。』
と言われた。
なんかよくなくなくないですか、このセリフ。

9/16  <演奏論>
 1)家と車を失ったニューオリンズの友人、トランペットの大橋君は、ジュリアード音楽院のマスタークラスに転入できたそうで、今週から NY の住人となった。
http://www.nytimes.com/2005/09/17/national/nationalspecial/17ohashi.html?adxnnl=1&adxnnlx=1126965724-iTzfek9W5MZc7JFAyq8ojg

 彼は、ボストン留学時代、住んでたアパートで火事に見舞われてテレビ局のインタヴューを受けた経歴を持っている。 そして今回の水害。 彼はたくましいと思う。

 2)以前、凄腕ドラマーの繰り出す技にあおられ、演奏中にロストする事が多かったのです。

 それを克服するために、自分の身体の中のメトロノームをひたすらカウントさせて弾くことをここ数年こころがけてきました。

 練習方法としては、自宅ではレッドソックスの試合をテレビで見ながらスケールを弾く。 あるいは話し声の方が大きい会場、酔っ払いがからんでくる会場を特に選んでライヴをする、がありました。

 ポイントは、周りに影響されない、強いリズムセンスを獲得すること、でした。 それがここ最近、少し体得できてきた感じなのです。

 テレビのリモコン操作を自分でする時は楽しいけど、他人にリモコンをガチャガチャ動かされて、応援してた野球中継から、どうでもいいトレンディードラマに変えられてしまう気持ちを想像してください。
 でも最近トレンディードラマも楽しいじゃないか、と思えてきた。 うん。 深津絵里もがんばっているじゃないか。

 かいつまんで言うと、最近のドド君、演奏中、周りの音を聞いているけど、聞いていない、自分のメトロノームを聞いている。 でも周りの音も聞いている。 ドラマーのリモコン操作も耐えられる。 こういう読んで下さっている方にはかなりわからないかと思われる境地にきたような気がしてます。
 要は、最近演奏が楽しいという話しなんですけどね。

9/21  <大人の階段>
 1)突然だが、先日ゴルフの打ちっぱなしに行った。 以前から、某指揮者の Y さんより強く薦められていたのであるが。 ついに、Y さんや某キタノホテルの K さん等と共にニュージャージー州の練習場で初打ちしてしまった。

 Y さんが始めにお手本を披露。 ゴルフ暦20年、しかもプロに2か月の講習を受けた経験もあるという Y さんの見事なショットに、一同感動。
 『僕は棒を振って生きてますからね。』
と Y 氏。
(このセリフを言ってくださるのを期待していたのだが、実際には言っていない。)

 サモア赴任時代よくやっていたという K さんは8年ぶりのゴルフだという。 カンを取り戻すかのように、段々とスーパーショットを連発。 フォームはお世辞にも奇麗とは言えないのだが、何故か、ものすごく距離が出る。
『一緒にプレイする人は、僕のこのフォームと意外な飛距離に驚いて、やる気をなくすそうです。』
 と K 氏。

 ドド君も Y さんの6番アイアンを貸していただき Y さんの指揮のもとに50球くらい打った。
『ゴルフは左手で打つ。 右手は支えるだけ。 ジャストミートすることだけ意識して。 目線をボールに最後まで合わせて。』
 運動オンチのドド君、以外にもナイスショットが続いた。
 『いいスイングを心掛けてますから。』
と言いたくてウズウズしていたが、必死に発言をこらえたドド君であった。

2)最近、英語で会話中に何故か涙ぐむ。 会話のキャッチボールが長く続けば続くほどその傾向が強い。
 英語を話している自分に酔ってしまうのだろうか。 在米10年だというのに。 意味がわからない。

3)先日、在 NY の韓国人歌手 Nana のレコーディングに参加した。 サックス Don Braden 、ギター John Hart 、ドラムス Tim Horner に日本の琴に似た韓国の伝統楽器 Kamungo に Hea Won Lee 、そしてこの録音の音楽監督のベーシスト JorisTeepe の布陣。
(因みに Nana は、 Joris Teepe の夫人。)

 韓国の歌やアメリカンソングを合わせて 12 曲収録。
『 Someday My Prince Will Come 』のマイルスデイヴィスのソロに、韓国語でオリジナル歌詞をつけて歌うというのもあった。  Nana さんは10月には、韓国で自分のショーがテレビ放送されるらしい。

 休憩時間に、ふとゴルフの話題になって、この間初めてやったんだという話しをしたら、 Nana さんは、使わない練習用クラブセットがあるのよ。 貸してあげる。 上手くなって自分のクラブが欲しくなるまで使っていいわよ。 今度コースに出ましょう、等という展開になった。
(この会話中、もちろん僕の目は涙でいっぱいである。)
そして、今、僕のアパートの物置きスペースにはゴルフクラブセットがしかと置かれてあるのだ。

9/28  <ソワソワ>
 秋になりました。
2005年終盤のドド君の運命はいかに。

 レッドソックスはヤンキースと同率首位(27日現在)。 今週末の直接対決でレッドソックスのプレーオフ進出が決定する模様。

 SOMI のショーが 10月3日に Joe's Pub にて。 今年、日本行きと重なって、2回程共演のチャンスを逃していた。 楽しみ。

 10月の8日より1週間、ドラムの Pete Zimmer のバンドでアメリカの中西部をツアー。 車で10時間移動とか、ホテルもバンドメンバーと相部屋とか、かなり愛が要求される旅になりそうだ。

 10月後半。 僕のピアノトリオの最新 CD のレコーディング。
過去2年間に書き貯めた、百々徹 曲集となることだろう。
この頃、ワールドシリーズでレッドソックスが2年連続優勝か?

 11月 Wayne Escoffery のレコーディングに参加か?
バンドメンバーのスケジュールに若干の問題が。 実現してほしい。

 12月。 SOMI バンドで Niger ツアーか?
(ニジェールという国があるのですね。)
本当に実現するのか?

10/2  <WORLD MUSIX LIVE FROM NEW YORK インタビュー>
 今日、クレオパトラのジャムセッションのホスト業の休憩中にインタビューされました。 この模様が、日本時間10月9日(日)の朝2時から4時に、FM ラジオ JFN の WORLD MUSIX LIVE FROM NEW YORK という番組の中の、 “ジャズカレンダー” というコーナーで放送されます。 ドド君のどもりがちな セクシーヴォイスが聞けるのは、だいたい朝の3時頃になるとのことです。

 親愛なる『全国960人の百々徹を助ける会』の夜更かししがちな方、あるいは早起きしがちな方、聞いてくださると嬉しいです。
尚、FM-JFN は東京では聞けないそうで、『全国960人の百々徹を助ける会』の東京支部の方には、お手数かけますが、ラジオをバッグに詰めて都外へ移動していただくこととなるでしょう。

参考) http://www2.jfn.co.jp/musix/

10/7  <出発前>
 10月3日の Joe's Pub での SOMI ライブ、6日の Small's での Pete Zimmer ライブ無事終了。 いよいよ明日から Pete Zimmer バンドで Mid West ツアー。
( http://www.petezimmer.com/ )

  日程はざっとこんな感じ。
10/8 Detroit, MI Baker's Keyboard Lounge 9:30pm-1:30am www.bakerskeyboardlounge.com/
10/9 Cleveland, OH Nighttown w/Greg Abate 7pm $10 cover www.nighttowncleveland.com/
10/10 Cleveland, OH Cuyahoga Community College (clinic sponsored in part by SABIAN Cymbals)
10/11 Columbus, OH Ohio State University, 8pm
10/12 Dekalb, IL Northern Illinois University (clinic sponsored in part by SABIAN Cymbals)
10/12 Dekalb, IL The House Cafe 9pm $5 Cover www.thehousecafe.net/
10/13 Milwaukee, WI UW-Milwaukee (Clinic/Performance)
10/13 Milwaukee, WI The Jazz Estate 9:30pm www.jazzestate.com/
10/14 Three Oaks, MI Acorn Theater 8pm (eastern) Tickets $15 www.acorntheater.com/
 ジャズクラブでの演奏に加え、学生を前にレッスンやクリニックも行うらしい。
どうなりますやら。。。。。

10/17  <無事生還そして>
 10月8日から15日までの Pete Zimmer バンドのミッドウェストツアーから無事帰宅。
 行きの NY −デトロイトの10時間ドライブ。 帰りのミシガン州− NY の12時間ドライヴを除けば、最高の旅だったような気がする。
(7時間くらいかかるペンシルヴェニア州横断がつらかった。 変わらない野原の景色が7時間、延々と続くのだから。)

 アメリカ中西部は、僕が勝手に想像するどこか古き良きアメリカみたいな雰囲気があって、大都会 NY とは異なる、時間の流れを感じた。 人も人なつこいというか、温かい感じを受けた。
なにせ、行くとこ行くとこ日本人がいない。
アメリカなんだ!

 仕事のブッキングからホテルの予約、運転を一人でこなし、朝食の手配までして事細かくバンドメンバーに気を配る Pete 。 そこからドラムを組み立て演奏し、客席をまわって CD を販売する彼の姿に感動さえ覚えてしまった。
 顔が似ているためよく見間違われるベースの David Wong とは、今度ゴルフ対決することになったし、ブラッドメルドーと高校の同級生だったというテナーの Joel Frahm の圧倒的な演奏にとても刺激を受けた。

 旅から帰ってきての NY がまたいいものだ。
16日のクレオパトラのジャムセッションも、大勢のゲストが訪れた。
お世話になっている大阪のおもろい津川夫妻。
マエストロ山田敦さんに電通の社員の方。
ドイツのレーベルから CD デビューを果たしたギターの阿部大輔。
前日に買ったばかりの原色をモチーフにしたジャケットを得意げに着こなすドラムのユージロー・ナカムラ。
12月来日公演を控えるテナーのロー・ハセガワ。
最近 NY に引越してきてゴルフに誘ってくれているトランペットのヨシロー・オカザキ。
お気に入りの帽子をまとったドラムのシンノスケ・タカハシ。
(あっ、彼は、この日僕のトリオで演奏してもらったのです。)

ここからがすごい。
ベースの中村健吾。 植田典子。 脇ヨシ。
それからピアノのアラン・J・パーマー。 ドラムのマーク・テイラー。 なんとサックスのルー・タバキン。 ワオーである。

 俺様もずいぶんとえらくなったなぁ気分でいたら、この日、日本からベースの安カ川大樹夫妻が NY に訪れていて『ここからがすごい』以下の面々は、主に彼に会いに来ていたのであった。 要は、安カ川さんがすごい、という事であった。

 セッション後の恒例のお茶会に安カ川さんも参加してくださり、朝の4時近くまで語ってしまった NY のこんな生活が、僕はやはり好きだったりするのだ。

10/20  <レコーディング終了>
 18日と19日の2日でドド君の新作 CD のレコーディング。(Joseph Lepore on bass, Rodney Green on drums)

キタノホテルで 昨年の12月頃より ほぼ月一のペースで演奏してきたので、1年のリハーサルをかけて作られたアルバムといえましょうか。

 収録はとてもスムーズにいってしまい、初日に11曲すべて録り終えてしまい、2日目は前日に気に入らなかった曲を 4曲ほど再録した次第。 時間があまったので、もう一枚アルバムが作れるかも とさえ思ってしまいました。

 今、ラフミックスを聞いてますが、なんといいますか、ドド君がピアノを弾いて、ジョセフがベースを弾いて、ロドニーがドラムを叩いている、そのままの自然な姿が写真に収められたような印象です。

 今後、今回もプロデュースとエンジニアを担当してくださった 増尾さんとエージ君とのトリオで ミックスやらマスタリングして 一家に一枚となるような作品になって、お金持ちになって、幸せになりたい、そう思うドド君33歳の秋です。

10/24  <ゴルフデビュー>
 マンハッタンより車で30分ほどにあるニュージャージー州の Bergen Hills Country Club にて ゴルフデビューを果たした。

 マエストロ Y さんと K ホテルの K さんと A さんと18ホール。

 実に難しいスポーツであった。 密かに2回程通った練習場で上手に打てていたので、けっこういけるだろうと多少たかをくくっていたところもあったのだが、とんでもなかった。

 ティーショットが当たらない。 様々な傾斜にあるボールをアイアンで打ちこなせない。 アプローチできない。 パットは決まらない。

 悶々と終えた前半後、ランチブレーク。 大きな皿に並々と注がれた野菜スープをいただく。 何故かスプーンが皿の大きさに比べて小さい。 何度も何度も口にスプーンを運ぶが、スープはいっこうに減らない。
 何回も何回も打ってもホールが遠い ドド君のゴルフデビューを思い起こさせる、実にすっぱいスープであった。

 後半に入って、少し希望が見えてきた。 パー3でダブルボギーを記録したのが 今回のハイライトであった。 しかし最後18番ホール、池越えしないとオンできない難関コースで、14回叩いて終了。

 デビュー成績『193』のピアニストの話しはさておき、K さんと、Y さんの対決は見物であった。
 K さんはお世辞にもスイングフォームが奇麗とはいえない。 テイクバックがなく、手首のスナップだけで打っていくのだ。 まるでバドミントンのように球を打っていくのだ。 K さんはウッドは使わない。 3番5番アイアンとピッチとパターの4本しか使わない。 さらに コースに出てゴルフをしたのは 実に8年ぶりだという。
 一方、Y さんはフォームに厳しく、ここは何ヤードだから何番というクラブ選びにうるさい。 ゴルフも定期的にプレイしているという。

 ところが、K さんは確実にまっすぐボールが飛ぶ。 いくら Y さんがティーショットでかっ飛ばしても、グリーンで K さんに並ばれてしまう。
 最終スコアはYさんとAさんが同点優勝。 K さんが3点差で3位であった。
『何故、あのめちゃめちゃなフォームで、俺とスコアがたいして変わらないんだ?』
と首を傾げる Y さんのいらだちぶりが面白かった。

 これからゴルフにはまろうとする ピアニストにとって、どちらのスイングを学んでいけばいいのか 悩むところだ。 見た目は悪いが確実な K 式か? 見た目はいいが安定しない Y 式か?

 全ホール通じて一番冷静に、かつ楽しんでプレイされていた A さん曰く、
『プロにレッスンを受けなさい。 それが上達への近道。』
多分そうなのだろう。

10/28  <一合一会>
 先週末から昨日にかけて、指揮者の山田敦さんの関わるイヴェントやら昼食会に参加させていただく機会が続き、とんでもない人々に出会った。

 肩書きで人間を判断してはいけないとはいえ、判断できないほど無垢ではないドド君、少なくとも名刺交換あるいはサインをもらった方を一部公開。

  米国三井物産社長に副社長。
  トヨタアメリカ社長。
  住友製薬アメリカ社長。
  TBSインターナショナル副社長。
  国連日本特命全権大使
  駐米日本大使。
  コロンビア大学教授。
  ユッスーンドゥール(注)

(注)ユッスーンドゥールは肩書きではなくて
  坂本龍一とのコラボレーションでも知られるセネガル人歌手。

 出会いのバブル現象が起きている。。。。。