Jazz City Spirits/Tokuma Japanl
TKCB 72432
Produced by Yoshiaki Masuo
Released in 2002(Japan)
Recorded at The Studio, NYC on March 2001, April & May 2002
Personnel
Song list
Review
すばらしいピアニストが登場した。 百々徹(どどとおる)は72年東京生まれで、98年にバークリー音楽大学を首席で卒業。 現在NYで活動中だ。 最近はピアノブームで、日本では新人が多数登場したが、時期尚早の人もいたと思う。 リズムがもの足りないのである。 指が速く動いてアップテンポやワルツ、8ビート系が綺麗にできても、遅い4ビートでグルーヴするのは無理、という感じだ。 しかし百々は明らかにそれらとは一線を画す。 ピアノの発音、ノリ、タイム感が全く違う。 断然明確で深く、意識的あり、本格的だ。アップテンポからスローまで完全にピアノがリズムを生み出している。 演奏スタイルはハンコックらの60年代からキースやブラッドメルドーまで相当研究を重ねて作り上げた感じで、それらを既に引き出しにしてしまったかのようだ。 何より、明快な、ソリッドなリズム、バランスよく配置された左手のハーモニー等が一体となってできたサウンドには強烈なオリジナリティーを感じる。
曲は2曲のバラード以外はオリジナルのようで、コンテンポラリーなハーモニーとシンコペーションを持った曲から、モンク的なリラクゼーションを感じさせるもの、4ビートから8ビートまで多彩な作品が並ぶ。 作曲の才能も大したものだ。
半星は次回にとっておくが、明らかに傑作。 ぜひ聴いてほしい。
------中山智広、Swing Journal 2002年10月号
Out of Prints
廃盤